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入矢 桂史郎*; 久保 博*
PNC TJ1201 95-004, 63 Pages, 1995/03
TRU廃棄物処分場の人工バリアの材料としてセメント系材料(以下「コンクリート」と称す)は有望な候補の一つである。TRU廃棄物処分場の建設される環境条件として、深地層の地下水中の岩盤が有力であるが、コンクリートは地下水中でその中に含まれるイオンおよび廃棄体に含まれる化学成分の影響を受け、次第に劣化していくことが考えられる。これまで、地下水中に存在する主要なイオンとして、塩素イオン、硫酸イオンとセメント硬化体との相互作用について実験的研究を行った。また、地下水中に数十年以上に渡って浸漬されたコンクリートの調査分析も行った。本年度は、TRU廃棄物に含まれるイオンの中で、硝酸イオンを取り上げ、セメントペーストを用いてその影響による変質挙動について実験的研究を行った。硝酸ナトリウム10%溶液中では、セメント中のカルシウムの溶出はほとんど見られなかった。この結果、セメント硬化体は、ナトリウム硝酸塩の水溶液中においてほぼ安定であるといえる。次に、セメント硬化体がベントナイトの性質に与える影響について調査を行い、実験計画の立案を行った。その結果、Na型ベントナイトはセメントのカルシウムの影響を受けてCa型ベントナイトに変化する。次に、Ca(OH)2の影響を受け、モンモリロナイトがゼオライトに変わることが予測される。これらを実験的に確かめるために、バッチ法、透水試験法、電気化学的促進法について実験計画を提案した。最後にスイス、スウェーデン、カナダを訪問し、中低レベルや高レベル処分においてコンクリートがどのように使用されているか、どのような理由でセメントの選定が行われているか、また、どのような研究が行われているかについて調査を行った。
木嶋 達也*; 笹川 剛; 澤口 拓磨; 飯田 芳久
no journal, ,
シリーズ発表の(1)では、ベントナイトのセメント系材料との相互作用において考慮すべき二次鉱物の設定を検討した。選定した二次鉱物のうち、Mgケイ酸塩,C-(A-)S-H型鉱物,ゼオライトに分類した鉱物については、一意に生成種を決定できないため、化学組成及び熱力学的な安定性の違いを考慮した鉱物設定のケース分けを行った。本研究では、それぞれのケースにおいて、ベントナイトの透水性に対する二次鉱物設定の影響の程度について把握するとともに、鉱物設定に係る留意点の整理を行うため、PHREEQCを用いた一次元物質移行解析によって感度解析を行った。その結果、熱力学的な安定性が高いTobermorite等を設定した場合よりも、熱力学的な安定性が低いC-A-S-Hゲルを設定した場合においてMontmorilloniteの溶解量が多くなり、ベントナイト-セメント界面部の透水性が大きくなる結果が得られた。このため、熱力学的に安定な鉱物を設定することが必ずしも保守的な設定にはならないことに留意が必要であることを示した。